ここ数年雲海の名所としてすっかり定着した感のある兵庫県朝来市の竹田城跡。「天空の城」、あるいはこのような表現には違和感を感じる向きもあると思うが「日本のマチュピチュ」ともよばれている。その雲海を見ることのできる可能性が高い季節が到来した。例年晩秋までがベストシーズンと言われている。

竹田城の歴史ははっきりとしていない部分が多い。しかし豊臣秀吉の弟、小一郎秀長が毛利方から攻め取った後最終的な後縄張り(設計・建設)を行ったとの説が有力とされる。その後幾人かの城主を経て廃城となったのが今から四百年前の戦国時代末期。以来言わば廃墟として存続してきたが、本丸の石垣などの遺構は保存状態が良好に保たれていて我が国の山頂城郭遺構としては屈指のものとされている。

城跡は標高353メートルの山の頂きにあり、ビューパターンはふた通りある。ひとつは城跡に登って眼下に広がる雲海を眺めること。登山と同じ感覚だ。そしていまひとつは少し離れた山、立雲峡から雲海に浮かぶ城跡を遠望するというものである。

雲海が発生する条件とは?原理としては湿度が高い低気圧が夜間に通過すると放射冷却現象によって地表が冷却される。するとその上の大気温も低下して空気中の水分が霧となって雲海の素となる、とのことである。このため9月下旬から12月上旬の、良く晴れた気温の低い早朝が「雲海日和」となる。尚シーズン中は交通規制や立ち入り規制も実施されるので注意したい。

竹田城跡が西の代表なら東の代表は北海道トマムの星野リゾート「雲海テラス」か。ただこちらは間もなくスキーシーズンを迎えるので10月13日までの営業となっている。訪れるならダッシュである。