石川県小松市にある北陸屈指の空港で従来は金沢市の空の玄関として機能していた。
飛行場としての歴史はここも旧軍の施設から始まっている。1944年、当時松林と砂丘が
つづく浜辺の地に海軍航空隊基地が完成。しかし翌年には敗戦を迎えアメリカ軍に接収
された。その後航空自衛隊の基地となるが、民間飛行場としては1961年から機能をは
じめる。現在も滑走路を自衛隊と共有する軍民共用飛行場である。管理・管制は
航空自衛隊が行っている。
「従来は金沢市の」としたのは今年に入ってこの空港の環境が激変したからである。
もちろんそれは3月に開業した北陸新幹線の影響である。同空港のメイン路線である
小松-羽田線の利用客数は対前年で最大40%も減少したのだ。まさに存亡の危機
とも言える事態である。仙台や新潟など、新幹線開通によって羽田と結ぶ路線が
消滅してしまった空港の後を追うのか、それとも何とか踏みとどまれるか。日本の地方
空港は羽田線があるのとないのとではおおいに経営環境が変わってしまう。それが
現実なのである。
今小松空港が目を向けているのは隣県福井である。有力な空港がない福井
からはまだ集客が見込めるとして東京へのビジネス客を重点になんとか需要を
掘り起こしたい考えのようだ。また首都圏から福井への観光需要も視野にある。
小松空港の到着ロビーに設置された、いまや福井県のシンボルともなっている
恐竜の動くオブジェが福井へのラブコールを象徴しているようだ。
空港からクルマで10分の能美市内に松井秀喜ベースボールミュージアム
がある。野球好きの方はぜひ訪れてみてほしい。